
親によく怒鳴られていた。
とても怖かった。
何か言おうとすると「言い訳するな!」と余計怒られるので、何も言わずにじっと耐えているしかなかった。
そんな家庭環境で育った人はいませんか。
自分が育ってきた環境と大人になってから感じる生きにくさとの関係を客観的に探っていくと、怒鳴る親の元で育った人にはある共通の心の問題を抱えがちです。
自分自身を知ることは自分らしく生きる人生の一歩になります。
もしあなたも思い当たることがあるなら、親に怒鳴られて育った人が抱えがちな心の問題について一緒に探っていきましょう。
この記事の目次
怒鳴る親のもとで育った私の体験
私の父は怒鳴る親でした。
父は仕事が忙しかったせいか、ピリピリイライラしていることが多かったです。
小さい頃自分の意見が通らないなどで泣き喚いていたり、言いつけを守らなかったりすると、怒鳴られて時には平手打ちされました。
私はどんどん父が怖くなっていきました。
ある程度大きくなると泣き喚くこともなくなったせいか平手打ちされることはなくなりました。
しかし時々呼び出され「お父さんがなぜ怒ってるのかわかるか?」と咎められ、沈黙とともに追い詰められることが非常に怖かったです。
父の怒っている理由のたいていは、父からの頼み事を忘れてしまっていたなど些細なこと。
でも「お父さんはお前のために一生懸命いろいろしてやっているのに、お前は俺のために何もしないんだな。」と重圧をかけられ、事情を説明しようにも「言い訳するな!」と怒鳴られました。
結局、最後は泣いて詫びるしかなかった。
家の中は父がいるだけで重苦しくなりました。
母も父には逆えず、私のことを父から守ってくれることはなかったので、家庭は私にとって安心できる場所ではなく、常に緊張感を抱えていたのを覚えています。
その当時、父は(私がわがままだから)(私が怠け者だから)(私が悪いから)仕方なく怒っているんだ、と思い込まされていました。
なので私は(自分はなんてダメな子どもなんだ)と自己否定感を強くしていったのです。
親に怒鳴られて育った人が抱えがちな心の問題
そんな私が大人になると、なんだか色々うまくいかないし、生きるのって難しいという気持ちが強く持つようになりました。
でもどうせ自分はダメな人間なんだから仕方ないんだと諦めの中にいました。
そして結婚し、妊娠が判明。
その当時、父のように夫に対しヒステリックに怒鳴ることを度々繰り返していた私。
「このままじゃ子どもに父と同じことをしてしまう」と猛烈な危機感を感じ、自分を変えることを決意。
自分を変化させるには小さい頃の心の傷『インナーチャイルド』をなんとかする必要があると直観し、ネットで出会った『インナーチャイルド』を扱うヒーリングを受け、自分の育った環境と向き合い始めました。
効果を実感した私は、自分自身もそのヒーリングのヒーラーになり、たくさんのクライアントさんと接しているうちに、「親に怒鳴られて育った」「親が怖かった」という人には共通の心の問題があることに気づきました。
以下にその心の問題について言及していきます。
① 人の顔色が異常に気になってしまう
子どもは親なくては生きてはいけません。
親から感情的に怒鳴られることは子どもにとって恐怖でしかありません。
怒鳴られて精神的に(時には肉体的にも)痛めつけられることは、死にも等しいことです。
なので子どもは可能な限り怒鳴られることを避けようと、親の顔色を伺うようになります。
(今、機嫌が悪いかな。)(今日は気分が良さそうだ、よかった。でも油断はできない。)などと驚くほど、子どもは親をよく観察しています。
また親の機嫌を損ねないように、意図的に親を楽しませるような話や行動をしようとする子どももいます。
親がイライラしている時は(何か自分が悪いことをしてしまったのかも)と自分の中を必死で探ります。
そんなふうに親の顔色を伺うようになってしまった子どもは悲劇です。
大人になっても、同じように周りの人たちの顔色を伺うようになります。
話していた人が不機嫌そうに黙り込むと、(あ、何か気に触ることを言ってしまったかも)と不安になります。
そうやって人の顔色を伺って生きるのはストレスがたまります。
自分らしくのびのびとしていられないからです。
② 本音が言えない
感情的に怒鳴る親に対して、自分の言いたいことを堂々と言える子どもは滅多にいないでしょう。
感情的に怒っている時、人は冷静に話を聞くことは難しいです。
親は「自分をこんなに怒らせる子どもが悪い!」と決めつけてしまっているので、子どもが自分は悪くないという説明をしようにも言い訳にしか聞こえず、「逆らうなんてますます悪い子だ!」と火に油を注ぐことにもなりかねません。
子どもは恐怖のあまり何も言えなくなったり、どうせ言ったって聞いてもらえないと諦めとともに、口をつぐんでしまうでしょう。
親との間でそのようなコミュニケーションパターンを繰り返していると、子どもは自分が思ったことを素直に口にすることができなくなります。
話すことは親との間でめんどくさいことにならないような当たり障りのないことを選ぶようになります。
そうしているうちに自分の本音がわからなくなるようになっていきます。
そして成長すると、周りの人たちとの会話の中で言いたいことが言えていないような感覚を持つようになります。
(本当はこう思っているんだけど、それを口にすると相手を怒らせそうで怖い)、そんな心配や不安が常につきまといます。
また、本音がよくわからない場合もあって、「あなたはどうしたいの?」と聞かれても「よくわかりません。」と返すしかなく、一体自分は何がしたいんだろうと落ち込むこともあります。
③ ネガティブな感情が溜まっている
一人の人として尊重されていれば、感情的に怒鳴られることはないと思います。
感情に怒鳴られるという行為は、人として雑に扱われる行為でもあります。
そんな行為を繰り返されていると、人としてちゃんと扱ってもらえない怖れ、悲しみ、怒り、不安などネガティブな感情が溜まっていきます。
私は特に怒りの感情の抑圧が強かったです。
怒鳴られている時は怖くて固まっているのですが、後になって怒りとともに(こう言ってやればよかった!)と後悔し続けるというパターンを繰り返していました。
私のことを蔑ろにする父に復讐したいと、自殺まで想像しました。
私が死んだらあんなに怒ったことを後悔するはず、いい気味!と想像しては自分の気持ちを落ち着かせていました。
そして大人になると、父と同じように身近な人に怒りを爆発させてしまう自分がいました。
また、変なタイミングで急に悲しくなって涙が溢れてきたり、自分の感情がコントロールできないこともよくありました。
不安や怖れで夜眠れなくなることもあったので、ネガティブな感情が相当溜まっていたのだと思います。
④ 自己否定感が強い
怖い思いをするくらい怒鳴られる。
しかも、本来自分を守ってくれるべき、自分をこの世に生み出してくれた大好きな親から。
その矛盾に子どもは、「自分がいけないから親はこんなに怒るんだ」ということにして納得しようとします。
本当はいい親のはずなのに、自分が悪いから親をこんなふうにさせてしまったのだと。
そうやって親を守るために、悪いのは自分だ、という自己否定感を強めていきます。
側から、親は自分のイライラを子どもに八つ当たりして発散しているだけ、と見えていたとしても、子どもは悪いのは自分だと心の奥では思い込んでしまいます。
虐待されている子どもが、虐待する親を「悪いのは自分なんだ」と庇う傾向にあるのはそのせいです。
自己否定感が強いと、人生はとても生きにくいです。
自分が悪いからうまくいかないのは当たり前、くらいの勢いで、人生に次々とうまくいかないことが起こり続けます。
⑤ 常に不満を抱えている
怒鳴られて怒られることで、言いたいことも言えず親から押さえつけられていると、不満がたまっていきます。
また(自分が悪いせいだ)とする自分もいれば、(いややっぱりこんなのおかしいよね)と気付く自分もいて、自分が引き裂かれることによる不満もたまっていきます。
不満は訳の分からないモヤモヤ感として人生のあちこちに影響を出します。
楽しもうと思っても、なんかモヤモヤして楽しめない。
人と一緒にいると、なんかモヤモヤして居心地が悪い。
普通にしていても、急にモヤモヤしてきて、気持ちが不安定になる。
人から見て「幸せだねー」と言われるような生活を送っていても、(いや、別に幸せじゃない)と否定したくなるのも心に溜まっている不満の影響です。
幸せになりたいと思って、「この資格が取れたら幸せになれる」「結婚したら幸せになれる」「子どもができたら幸せになれる」などと次々に自分に課した幸せの条件をクリアーしても、幸せより不満なことばかり見えてしてしまう。
それも幼い頃からの不満が溜まっているからです。
心の問題をどう扱っていけばいいのか
親に怒鳴られて育った人が抱えがちな5つの心の問題を見ていきましたが、みなさんはいくつ当てはまったでしょうか。
私は全て当てはまっていましたよ。
これだけ抱えてりゃ、人生、うまくいかないのは当たり前です。
ではこれらの心の問題をどう扱っていけばいいのでしょうか。
心の問題を扱う一歩としては、自分の親に怒鳴られて育ったことが、今の人生にかなりの影響を与えていることを知ることです。
この記事では、親に怒鳴られて育った人が抱えがちな心の問題として上記5つをピックアップしました。
しかし親に怒鳴られて育ったといってもそれが父親だったのか母親だったのか、または両方だったのか、どんな風に怖かったのかなど、それぞれの家庭でいろんな違いがあります。
そしてそれがどんな風に今の人生に影響を与えているのかもそれぞれ違うのです。
例えば、母親が少しでも成績が下がると感情的に大声を出して責めてきた、という家庭環境で育ったとしましょう。
結婚して子どもができ、自分の子どもの成績のことになるとモヤモヤして気にせずにはいられない。
「勉強しなさい!」なんて親と同じことを言いたくないのにイライラしてつい怒鳴ってしまう自分がいや、という場合、育った家庭環境の影響を大きく受けていると思われます。
もしそんな自分を変えたい、と願うなら、まず怖かった母親に対して自分はどんなふうに感じてきたのか、大声で責められた時はどんな気持ちだったのか、と思い出すことから始めましょう。
思い出して、自分の中をその当時の気持ちや感情を整理をすることで心の傷が癒され、あちこちで顔を覗かせていた心の問題が軽くなることがあります。
地道に過去をフォーカスすることを続けていきましょう。
インナーチャイルドとなっている場合は要注意
過去を思い出しにくかったり、リアル感がなくぼんやりとしか思い出せなかったり、思い出しても感情や気持ちがぐるぐるして整理できない場合、親との間で起こったことが深い心の傷『インナーチャイルド』になっている可能性が高いです。
『インナーチャイルド』になっているとちょっと厄介で、1人で思い出して整理する、ということが非常に難しくなります。
その当時、あまりに深く傷ついてしまったため、心の奥深く深くに埋没させてしまったからです。
しかし傷は癒されず、ずっと痛み続けているため、心理的な問題となり表面化します。
『インナーチャイルド』にまでなってしまってる場合は、専門家のサポートを受けるのが近道です。
方法としては、カウンセリングや催眠療法、ヒーリングなどがあります。
インナーチャイルドはとても深い心の傷なので、担当のカウンセラーやセラピスト、ヒーラーが信頼できる人なのかどうかよくチェックしましょう。
私、八神は『インナーチャイルド』を扱うヒーリングセッションを提供しています。
短期間で深い心の傷を扱えるのが特徴のセッションです。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
まとめ
子ども時代の親との関係は人生のベースとなります。
大人になって頭では「親も一生懸命だったからあんなに怒鳴ったのも仕方なかったし私も悪かった」と捉え納得しているように見えていても、心の傷はずっと痛みのシグナルを発信し続け、人生のあちこちに悪影響を出しては、存在感をアピールするのです。
小さい頃の親との関係と向き合うことは、自分自身と向き合うことにつながります。
また、子育て中であれば、どのように子どもと向き合うことで子どもに心の傷をつけなくてすむのかを紐解く鍵になります。
なかなか小さい頃のことをはっきりとは思い出せない、という人は、思い出したくない心の傷が多いのかもしれません。
あの頃、どんな気持ちだったんだろう、どんなことを感じていたんだろうと過去に意識の光を当てることで、記憶がはっきりとしてくる時がくると思います。
自分らしくのびのびと生きていくために、どうぞ怖れずに自分の過去と対面していきましょう。
一人では難しいという方は、どうぞお声かけくださいね。
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