
父親の悪口を聞いて育つことは、思っている以上に子どもの心に深い影響を与えます。
実は・・・私も物心ついた時から父の悪口を母から繰り返し聞かされました。
「お父さんは本当にひどい人」「お父さんとの結婚は失敗だった」――そんな言葉を、まるで母の感情のゴミ箱のように、子どもの私は黙って聞いていました。
親子関係の中で、ネガティブな言葉が繰り返されると、子どもはその影響を無意識に受け取ってしまいます。
「なぜ自分だけこんな目に?」と感じることもあるかもしれません。
この記事では、父親の悪口を聞いて育った人が抱える10の心理的影響と、それに対処する方法について詳しく解説します。
この記事の目次
① 自己評価の低さ
母親から父親の悪口を聞いて育つと、母親からのネガティブなメッセージが自己評価に影響を与え、自己評価が低くなることがあります。
父親の悪口なのに、あたかも自分の悪口を言われているかのように潜在意識は受け取ってしまうからです。
そして自分を否定的に見るようになり、自己肯定感が低くなり、なんとなく自分は認められない、受け入れてもらえない存在だと思い込むようになります。
私は母から父の悪口を聞くたび、「私も父の血を引いているから、私もダメな人間なんだ」と感じていました。
父は私のルーツの半分。
そのルーツを否定されることは、自分の存在を否定されることと同じでした。
対策:
- 自己肯定感を高める: 自分のいいところや成功体験を記録し、定期的に見返すことで自己肯定感を育てる。
- ポジティブな環境を作る: 自分を肯定してくれる友人や家族と過ごす時間を増やす。
② 信頼の問題
最も身近にある両親の関係が破綻していることで、「人は信じられない」という前提が心に刻まれます。
私は長い間「人は結局裏切る」という前提で人間関係を築き、親しくなるほど「どうせいつかは裏切られる」という不安がつきまといました。
だって、子どもにとって両親は「世界」そのもの。
その世界が安全でないなら、外の世界も安全ではないと学習してしまいます。
対策:
- 小さな約束を守る: 信頼の感覚を取り戻すために、まず自分が自分との小さな約束を守ることから始める。
- オープンなコミュニケーション: 自分の気持ちや考えを率直に伝える練習をする。
③ 感情的な問題
母親に繰り返し父親の悪口を言われることで、怒りや悲しみ、不安や混乱が蓄積されます。
すると感情のコントロールが難しくなり、抑えきれない怒りや悲しみが突然爆発することもあります。
私は長い間、自分がなんでこんなによく落ち込むのか理解できませんでした。
一回落ち込むと1週間以上浮上できないこともしょっちゅう。
今から思うと、幼い頃から溜め込んできたネガティブな感情が定期的に噴出していたのだと思います。
母に「もう悪口を聞きたくない!」と言えなかった。
「もっと楽しい話をしたい」「私の話を聞いて!」と言えなかった。
ありのままの自分でいさせてもらえなかった悲しみ、悔しさ、怒りなどの未処理の感情に、大人になってもわけもわからず振り回され続けていました。
対策:
- 感情を表現する: 日記を書いたり、信頼できる友人やカウンセラーに話すことで感情を表現する。
- リラックスを心がける: 瞑想や深呼吸などのリラクゼーション技術を取り入れる。
④ 親密な関係を築きにくくなる
父親の悪口を聞いて育った人は対人関係においてさまざまな困難を抱えることが多いです。
他人との信頼関係を築くのが難しくなったり、親密な関係になるのを避けたりすることもあります。
また父親の悪口を聞いて育つと、異性への不信感や結婚へのネガティブなイメージが形成されます。
私は結婚後も夫に警戒心を持ち、「いつか私も夫を否定し始めるのでは」という恐怖がありました。
「結婚=不幸」「夫婦=お互いを否定し合う関係」というイメージが、無意識に刷り込まれていたのです。
対策:
- コミュニケーションスキルを向上させる: 自己開示やアクティブリスニングのスキルを練習する。
- カウンセリングを受ける: 専門家のサポートを受けることで、親密な関係を築くための具体的なアドバイスをもらう。
⑤ 自己否定的な思考
自分のルーツである父親の悪口を聞くことで、自分自身のことも否定的に捉えるようになりがちです。
自分責めが強くなり、自分に対する過剰な期待や失望を感じることが多くなります。
私は自分の中に父と似た部分を見つけるたび、激しい自己嫌悪に襲われました。
でも、父の一部を拒絶することは、自分自身の一部を拒絶することでもあったのです。
対策:
- 認知行動療法: 自己否定的な思考パターンを認識し、ポジティブな思考に置き換える練習をする。
- 肯定的な自己対話: 自分に対して優しい言葉をかける習慣をつける。
⑥ 回避行動
感情的な痛みを避けるため、対人関係を避ける傾向が生まれます。
私は長い間、表面的な関係ばかりを築き、本当の自分を見せられず、いつも「演じている自分」で人と接していました。
あー、私って友達がいないんだな、とよく思ってました。
寂しいから人と一緒にいたい、でも人と一緒にいることは疲れることでもありました。
本当に人と心を通い合わせることはできず、よく孤独感をつのらせていました。
対策:
- 段階的に人間関係を築く: 一気に仲良くなろうとせず、小さなステップから始めて、少しずつ人間関係を築いていく。
- 安全な環境を作る: 信頼できる人と一緒にいる時間を増やし、安全な環境で社会的スキルを練習する。
⑦ 役割の逆転
母親から繰り返し父親の悪口を聞かされることで、父親は加害者、母親は被害者と思い込むようになります。
そして父親から母親を守るために、母親の保護者のような役割を担うことがあります。
このため、早熟で責任感が強くなる反面、子供らしさを失い、無邪気さや遊び心が乏しくなることがあります。
私は小学生の頃から母の話し相手、感情の受け皿でした。
「お母さんを支えなきゃ」と必死でした。
そして同い年の友達が無邪気に遊ぶ姿を見ながら、なんとなく「私は違う」と感じていました。
この役割逆転は、大人になっても影響し、自分より他人のニーズを優先する癖、過度な責任感として現れたのです。
対策:
- 自分のニーズを優先する: 「もう親を守らなくていい」と自分に許可を出し、「私は何がしたい?」と自分のニーズを優先する練習する。
- サポートを受ける: 家族やカウンセラーからのサポートを受けることで、適切な役割を見つける手助けを得る。
⑧ 怒りの表出
人の悪口を聞かされ続けることは案外ストレスが溜まることです。
ストレスにより抑圧された感情が時折爆発しやすく、周囲の人に対して過剰に攻撃的になることがあります。
私が最も苦しんだのは、夫に感情的に怒ってしまうことでした。
冷静でいたいのに、スイッチが入ると止められない自分がいました。
対策:
- アンガーマネジメント: 怒りの感情をコントロールするための技術を学ぶ。
- 感情を安全に表現する: スポーツや芸術活動を通じて感情を安全に表現する。
⑨ アイデンティティの混乱
本来子どものモデルとなるべき父親の悪口を聞くことで、自分のアイデンティティに混乱をきたすことがあります。
特に子どもにとって、父親は社会の入り口のような存在です。
すると子どもは自分がどのような人間であるべきかがわからなくなることがあります。
私は長い間、「私はどうあるべきなんだろう?」と思い続けていました。
母のようになりたくない。でも父のようにもなりたくない。
では、私は何者なのか?
自分が何者かわからない、この不安定さは、生きづらさにつながりました。
対策:
- 自己探求: 自分の興味や価値観を探るための活動を行う。
- 専門家のサポート: カウンセリングを通じて、自分のアイデンティティを再確認する。
⑩ 成功へのプレッシャー
母親の父親に対するネガティブなメッセージが、父親より成功しなければならない、父親より人間的にましであらねばならない、というプレッシャーを感じさせることがあります。
そうでないと、母親から悪口を言われてしまう可能性があるからです。
早く独立して、たくさん稼いで、母親を父親の代わりに養わなければ、とも思い込んでいました。
このプレッシャーにより、過度なストレスや不安を感じることがあります。
私は常に「完璧でなければならない」という強迫観念に駆られ、ミスをすれば「父と同じだ」と自分を責めました。
この終わりのない競争は、母から否定されないための生き延びる戦略でした。
「父より人間的にましな自分」であれば、母から愛される――そう信じていたのです。
対策:
- 現実的な目標を設定する: 自分にとって現実的で達成可能な目標を設定する。
- 自己評価を見直す: 自分の努力や成功を正当に評価し、過度なプレッシャーを避ける。
根本的な癒しには「インナーチャイルド」を扱うことが効果的
ここまで10の心理的影響をお伝えしてきましたが、これらすべての問題の根っこには、子どもの頃の心の傷(=インナーチャイルド)が存在しています。
父親の悪口を聞かされていた時、あなたの中の子どもは何を感じていたでしょうか?
悲しかった、怖かった、怒りたかった、「やめて」と言いたかった――でも、言えなかった。
これらの未完了の感情が、今のあなたの行動や思考、感情のパターンを作っているのです。
「もう過去は関係ない」と思っても、体と心は覚えています。
子どもに怒鳴ってしまう時、パートナーとの関係がうまくいかない時、人間関係に悩みを抱える時、――そのすべてに、子どもの頃の傷ついた自分がいると言っても過言ではないでしょう。
なので、今の自分を変えたいと思ったら、変えたくても変えられないと悩んでいるなら、インナーチャイルドを扱うことが近道です。
セルフでインナーチャイルドを癒す方法
まずは自分でできるインナーチャイルドケアから始めてみましょう。
1. 子どもの頃の自分に手紙を書く
父親の悪口を聞かされていた頃の自分に向けて、今の大人のあなたから手紙を書いてみましょう。
「あの時は辛かったね」「よく頑張ったね」「あなたは悪くないよ」――
当時言ってもらいたかった言葉を、今、自分で自分にかけてあげるのです。
2. 感情を感じ切る時間を作る
一人になれる安全な場所で、当時の感情を思い出し、感じ切る時間を作りましょう。
泣きたければ泣く。
怒りたければ怒る(クッションを叩く、紙を破るなど)。
我慢せず、抑え込まず、ただ感じることが大切です。
3. 子どもの頃の写真を見ながら対話する
自分の子ども時代の写真を見ながら、その子に語りかけてみましょう。
母親が父親の悪口を言う時、「この子は何を感じていたんだろう?」「この子は何を必要としていたんだろう?」
客観的に見ることで、自分への思いやりが生まれやすくなります。
4. インナーチャイルド日記をつける
「今日、インナーチャイルドが反応したのはいつだったか?」を振り返る日記をつけましょう。
例:「夫の言葉にカチンときた → 実は母の口調に似ていた → 当時の無力感がよみがえっていた」
このように気づくことで、パターンが見えてきます。
専門家のサポートを受けるという選択
セルフケアも大切ですが、深い傷や長年の苦しみには、専門家のサポートが効果的です。
こんな方には専門家のサポートをお勧めします
- 自分一人では感情が整理できない
- 子育てで同じパターンを繰り返してしまう不安がある
- パートナーとの関係に影響が出ている
- 何年も同じ問題で苦しんでいる
- セルフケアを試したが、変化を感じられない
私自身、長年一人で悩みを抱え込んでいた時期がありました。
でも、専門家のサポートを受けることで、自分では気づけなかった深い部分の傷と向き合い、今ではスッキリと心から楽しい人生を送っています。
インナーチャイルドを専門的に扱う代表的なセラピーは以下のようなものがあります。
- カウンセリング: 対話を通じて心の傷を理解し、癒していく
- ヒプノセラピー(退行催眠): 催眠状態で過去の記憶にアクセスし、癒しを促す
- ヒーリング: エネルギーワークを通じて深い部分の傷を癒す
私自身は、『インナーチャイルド』を扱うヒーリングを受けたことが親からの囚われから解放され、人生を変えるターニングポイントになりました。
・感情の波を穏やかにしたい。
・落ち込んだり、人目を気にしてぐるぐる考えてしまう時間を減らしたい。
・心から笑って色々楽しめる自分になっていきたい。
・自分は大丈夫、と無条件に信頼したい。
・スッキリと軽やかになっていきたい。
『インナーチャイルド』を扱うヒーリングに興味ある方は以下のページをご覧ください。
詳細はこちら
まとめ
今回の記事では、「父親の悪口を聞いて育った人が抱える10の心理的影響とその対策」について詳しく解説しました。
父親の悪口を聞いて育つ
両親が不仲な家庭ではよくある出来事のように思われますが、その影響は案外重大です。
以下に要点をまとめます。
<要点まとめ>
-
- 自己評価の低さ: ネガティブなメッセージが自己評価に影響。
- 信頼の問題: 父親に対する信頼感の欠如が他人への信頼感にも影響。
- 感情的な問題: 怒りや悲しみ、混乱などの感情の蓄積。
- 親密な関係の難しさ: 親密な関係を築くのが難しくなる。
- 自己否定的な思考: 自分自身を否定的に捉えやすくなる。
- 回避行動: 感情的な痛みを避けるために対人関係を避ける傾向。
- 役割の逆転: 親の役割を担い、子どもらしさを失う。
- 怒りの表出: 抑圧された感情が爆発しやすくなる。
- アイデンティティの混乱: 自分のアイデンティティに混乱をきたす。
- 成功へのプレッシャー: 成功しなければならないというプレッシャーを感じる。
これらの影響を個別に対処することも大切ですが、最も効果的なのは、根っこにあるインナーチャイルドを扱うことです。
この記事が、自分自身をより深く理解し、心のケアを行い、前向きに生きるための一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
専門家のサポートが必要な方は、どうぞご相談くださいね。
関連記事
◾️親の囚われから自由になろう!
親子関係メルマガ 登録はこちら↓
























