
「今ここに生きる」と問題はなくなり、幸せに生きることができる
そういった言葉を、最近よく耳にするようになったのではないでしょうか。
マインドフルネスやアドラー心理学でも、「今ここに生きる」ことが幸せに生きる方法だとされています。
確かに、問題は過去や未来にあって、今ここにはありません。
今ここに集中して、思考を空っぽにし、感覚に意識を向け、ありのままの現実を受け入れれば、悩みや心配はなくなり、リラックスして生きられそうです。
しかしッ、言うは易く行うは難し・・・
「あー、また今ここに生きてないッ。思考がぐるぐるしちゃってる。感情にふりまわされてる!」
なんて落ち込むこと、ないでしょうか。
実はこれ、私のセッションでもとてもよく聞くお悩みなんです。
この記事では、たくさんのクライアントさんの心に寄り添ってきた経験から、「今ここに生きる」ことがなぜ難しいのか、その本当の理由と、今ここに集中するための実践方法をお伝えしていきます。
この記事の目次
「今ここに生きる」とは?意味をわかりやすく解説
それではまず、「今ここに生きる」とはどういうことなのか、見ていきたいと思います。
「今ここに生きる」をいろんな人がいろんな表現で説明しようとしていますよね。
今という瞬間に全力をささげること。
思考から離れて、自分の感覚を感じること。
目の前のことに集中すること。
言葉で正確に定義するのは難しいのですが、なんとなく「あ、こういう感覚かも」とわかる方も多いのではないでしょうか。
たとえば、美しい夕焼けを見て心が「わぁ…」となった瞬間。
あの一瞬って、過去のことも未来のことも考えていませんよね。ただ、目の前の空の色を感じている。
あの感覚が、「今ここに生きる」に近いのかなと、私は思っています。
マインドフルネスとの関係
「今ここに生きる」ことと、マインドフルネスはとても近い考え方です。
マインドフルネスは、「今この瞬間に、判断せずに意識を向ける」というもの。
瞑想やボディスキャン、呼吸法などの実践方法があり、集中力を高めたり、ストレスを軽減したりする効果が科学的にも認められてきています。
ただ、私が15年以上セッションを続けてきて感じるのは、マインドフルネスのようなテクニックだけでは「今ここに生きる」ことが難しい人もいるということなんです。
なぜかというと、「今ここに生きられない」原因が、テクニックの問題ではなく、もっと心の深い部分にあることが多いから。
これについては、後ほど詳しくお話ししますね。
「今を生きる」ことで得られる効果
「今ここに生きる」ことを意識するようになると、どんな変化が起きるのでしょうか。
私自身の体験と、クライアントさんたちの変化から感じていることをお伝えすると——
ネガティブな感情のぐるぐるが減っていきます。
過去の後悔や未来の不安にとらわれる時間が短くなるので、心がずいぶん楽になるんですよね。
人生の瞬間瞬間を楽しめるようになります。
子どもの笑顔、風の心地よさ、ごはんのおいしさ。
今まで見過ごしていた小さな幸せに気づけるようになります。
自分とのつながりが深まります。
思考に振り回されなくなると、自分が本当はどう感じているのか、何を望んでいるのかがわかるようになっていきます。
こんなふうに書くと、「今ここに生きる」ってすごくいいことずくめに見えますよね。
でもね、だからこそ、「わかっているのにできない自分」にガッカリしてしまう人が多いのも事実なんです。
なぜ「今を生きる」ことが難しいのか|3つの理由
「今ここに生きる」に関する書籍や情報はあふれています。
でも、「今ここに生きる」人が増えているかというと、そうとは言えなさそうです。
それはなぜなのか。
私がたくさんのクライアントさんと向き合ってきた経験から、大きく3つの理由があると感じています。
過去のネガティブな感情に引っ張られる
人間の脳は、過去の危険な体験を記憶して、同じ目に遭わないように警戒するようにできています。
これは生き延びるためにはとても大事な機能なのですが、困ったことに、過去の辛い記憶やネガティブな感情がいつまでも頭の中に残りやすいという面もあるんですよね。
「あのとき、あんなことを言われた」「あの失敗が忘れられない」
——そういった過去の感情が未消化のまま心に残っていると、ふとした瞬間に引っ張り出されて、今ここに意識を向けることが難しくなります。
未来への不安で「今」に意識を向けられない
「これからどうなるんだろう」「失敗したらどうしよう」
未来への不安も、私たちを「今ここ」から引き離す大きな要因です。
とくに子育て中のお母さんは、「この子は将来大丈夫だろうか」「自分の育て方は間違っていないだろうか」と、未来の不安を抱えやすいんですよね。
不安を感じること自体は自然なことなのですが、不安にとらわれすぎると、目の前の子どもの笑顔や、今この瞬間のあたたかさを感じる余裕がなくなってしまいます。
幼少期に身についた「今を生きない」習慣
ここが、私が最もお伝えしたいことです。
小さければ小さいほど、子どもは「今ここ」を生きています。
昨日のことや明日のことは考えません。今のことに集中して、心の赴くままに素直に行動します。
ネガティブな感情でぐるぐるしているようには見えません。
しかし、親にとっては、「今を生きる子ども」が時と場合によって危なっかしく感じるものです。
わがままに見えることもあるかもしれません。
子どもが今ここに生きて、自由にふるまった行動を、親が気に入らないことはよくあること。
「ダメ!」「危ない!」「何度言ったらわかるの!?」「困らせないで頂戴」「あなたにはがっかり」
——そんなふうに言われたり、怒った態度を示されたりし続けると、子どもは今ここに生きる自分を否定されたように感じます。
すると子どもは「今ここ」ではなく、親にとって何が正しくて何が間違っているのか、どうふるまえば怒られないのか、褒めてもらえるのか
——そちらに意識を向けるようになります。
「前これで怒られたからもうしないようにしよう」「これをしておけばママは機嫌がいいはず」
そんなふうに思考を働かせるようにもなり、ますます今ここに生きなくなっていきます。
さらに、親の顔色をうかがい続けることはストレスがたまること。
どんどんネガティブな感情が蓄積して、小さい子ども特有の「泣いたと思ったらすぐ笑う」ような流れのよい感情ではなくなり、一回揺れたら長い間ぐるぐる揺れ続けるような、濃縮された感情に変化していきます。
そうやって、親の元で無事に生き抜いていくために、「今ここに生きない」習慣を何千回、何万回と繰り返して、幼少期から身につけてきたのです。
何年もかけて身につけた習慣は、ちょっと意識したくらいで一気に手放せるものではありません。
だから難しいのは、あなたのせいではないんです。
今ここに集中して生きるための実践方法5選
さて、「今ここに生きる」ことが難しい理由はご理解いただけたでしょうか。
過去からの習慣を変えるのは本当に難しい。
でも、難しいからこそ、日常の中で少しずつ積み重ねていくことが大切です。
ここからは、日々の生活の中で実践できる具体的な方法を5つお伝えします。
①自分の感覚(五感)に意識を向ける
「今ここ」に戻る一番シンプルな方法は、自分の五感に意識を向けることです。
たとえば、
お茶を飲むときに、カップのあたたかさを感じてみる。
お茶の香りをかいでみる。
口に含んだときの味をていねいに感じてみる。
散歩中に、風が肌に触れる感覚を感じてみる。
鳥の声に耳を傾けてみる。
特別なことをする必要はなくて、日常の何気ない動作の中で「あ、今わたし、ここにいるな」と感じる瞬間を増やしていくだけでいいんです。
マインドフルネスの実践でもこの「五感への集中」はよく使われますが、堅苦しく考えなくて大丈夫。ほんの数秒、意識を向けるだけでも効果があります。
②「今ここにいない自分」に気づいたら、責めずに戻す
これは、私がとても大切だと思っているコツです。
「あ、また思考がぐるぐるしてる」「今ここに生きてないッ」——そう気づいたとき、「なんてダメな自分」と責めてしまうことはないでしょうか。
特に、「今ここに生きる」を実践しようとする方は、いわゆる修行系の方が多いと私は感じています。
修行系とは、「今ここに生きねば!」と信念に燃えて、道を外れがちな自分を鞭打ち、数ある苦行を乗り越えんばかりに力んでしまう特徴がある方のこと。
(そういう私も、実は修行系です。笑)
でもですね、「今ここに生きていない自分はダメだ」と自分を責めているとき、今ここに生きてはいないんですよね。
だって、過去からの「正しい・間違ってる」の基準にふりまわされているわけですから。
今ここを生きているときに、正しいも間違っているもないんです。
だから、もし今ここに生きていない自分に気づいたら、自分を責めずに、ただたんたんと今ここに意識を戻すこと。
むしろ、「今ここに生きていないことに気づいた自分はえらいッ!」と褒めるくらいがちょうどいいのです。
多くの人は昔からの自己否定の習慣を持っているからこそ、意識的に自分を責めない練習が必要なんですよね。
③瞬間を楽しむ小さな習慣をつくる
「今ここに生きる」を難しく考えすぎてしまう方も多いのですが、もっとシンプルにとらえてもいいと思います。
今この瞬間を、楽しむ。味わう。それだけ。
朝のコーヒーを飲みながら、窓の外を眺める時間。
子どもと手をつないで歩くときの、小さな手のぬくもり。
夜、布団に入ったときの「あー、今日も一日がんばったな」という感覚。
そういう小さな「いい感じ」を意識的に味わう習慣をつくっていくと、自然と「今ここ」にいる時間が長くなっていきます。
④ネガティブな感情を否定せず感じる
「今ここに生きる=ポジティブでいること」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。
悲しいときに「悲しいな」と感じること、怒りが出てきたときに「あ、自分は怒っているんだな」と気づくこと。
これも「今ここに生きる」ことの一つなんです。
ネガティブな感情が出てきたときに、それを否定したり、無理に切り替えたりしようとすると、感情はかえって行き場を失って、心の奥にどんどん溜まっていきます。
大切なのは、どんな感情も「ただ感じる」こと。
「あ、今こういう気持ちがあるんだな」と、良い悪いの判断をせずに気づくだけでいい。
それだけで、感情は自然と流れていきます。
⑤インナーチャイルドを扱って根本から変える
ここまで4つの実践方法をお伝えしてきましたが、正直に言うと、テクニックだけでは限界がある場合もあります。
先ほどお話しした通り、「今ここに生きられない」根本には、幼少期に親との関係で身についた深い習慣があります。
この習慣の奥にあるのが、インナーチャイルド——幼少期に傷ついた心です。
親から否定された、ダメ出しされたという幼少期の心の傷は、「今を生きると親に嫌がられる。今を生きない方が安全だ」として、習慣を変えることを無意識に拒ませてしまうのです。
新しい習慣を続ける決意をしても、やる気がなくなったり、いつの間にか忘れてしまったりする。それもインナーチャイルドが影響している場合が多いんですよね。
インナーチャイルドは自分では気づけないほど心の深い部分にあることがほとんどなので、「インナーチャイルドってよくわからない」と感じる方は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
私は『インナーチャイルド』を扱うヒーリングを2009年から提供しています。
「今ここに生きる」ことへの大きなサポートになるので、興味のある方はこちらのページをご覧ください。
「今を生きる」を習慣にするために大切なこと
ここまで読んでくださった方の中には、「よし、やってみよう!」と思ってくださっている方もいるかもしれません。
でもね、一つだけお伝えしたいことがあります。
完璧にやろうとしなくていいんです。
過去からの無意識の習慣を変えるのは、本当に時間がかかること。
今日意識できても、明日は忘れてしまうかもしれない。
1週間続いても、その後パタッとやめてしまうかもしれない。
それでいいんです。
気づいたら、戻す。
また忘れたら、気づいたときに戻す。
たんたんと、コツコツと。
自分を責めて後悔したり、ダメ出しする時間は、新しい習慣を育てるうえでは無駄な時間です。
その時間の分、ただ「今ここ」に意識を戻せばいい。
無理しない範囲で、着実に続けられることを実践していきましょう。
まとめ

「今ここに生きる」ことに魅力を感じる方は、どこかでその感覚を知っている方だと、私は直感しています。
そしてそういう人は「今ここに生きる」ことを実践し続ければ、いつかきっと、「今ここに生きる」瞬間がどんどん増えていくのではないかと思います。
この記事でお伝えしたポイントをまとめると——
- 「今ここに生きる」とは、今この瞬間に意識を向けて、思考のぐるぐるから離れること
- 難しいのは、過去の感情・未来の不安・幼少期の習慣が原因
- 日常でできる実践方法を、自分を責めずにたんたんと続けることが大切
- 根本から変わりたい方は、インナーチャイルドを扱うことでスピードが上がる
難しくて当たり前。できない自分を責めなくて大丈夫。
その前提を忘れずに、自分のペースで「今ここ」を積み重ねていってくださいね。
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