子どもの甘えとわがままの違いは心の状態|見分け方と対応法

 

子どもの行動に日々向き合う子育て中のお母さんなら、

 

 

「この行動は甘え?それともわがまま?」

 

「厳しくすべきか、受け止めるべきか判断できない…」

 

「対応を間違えて、子どもの心を傷つけているのでは?」

 

 

こんな悩みを抱えているかもしれません。

 

 

子育て中は、小さいころの甘えは受け入れてあげることが子どもの自己肯定感のために大切、などとよく耳にするように思います。

 

 

でも、いざ甘えてくる子どもを前にして、

 

(これって甘えなの?)

(単なるわがままじゃない?)

(わがままだったら拒否したほうがいいのでは?)

 

などと戸惑うことも多いのではないでしょうか。

 

 

実は、甘えとわがままの違いは、子どもの心の状態にあるんです。

 

甘えは安心や愛情を求めるシンプルでまっすぐな欲求ですが、わがままは心の傷が混ざった複雑な欲求なんですね。

 

 

この違いを理解することで、子どもの本当に欲しいものが見えてきて、適切な対応ができるようになります。

 

 

インナーチャイルドを扱うヒーラーとして15年以上、多くの親子のセッションをしてきた経験から、甘えとわがままのエネルギー的な観点から違いを探ってみます。

 

この記事が目の前の子どもをよりスッキリと受け入れられるお役に立てれば嬉しいです。

 

 

甘えとは?

 

では甘えとは一体なんなのでしょうか。

 

 

精神医学者の土居健郎氏は甘えを以下のように定義しています。

 

〈甘え〉とは,乳児の精神がある程度発達して,母親が自分とは別の存在であると知覚した後に,その母親を求めていることを指していう言葉

 

 

思えば、赤ちゃんは朝から晩までずっとお母さん(もしくは保育者)を求めています。

 

食べることも移動することも一人でできません。

 

赤ちゃんは生きるために誰かを必要とします。

 

だからなのか、赤ちゃんの行為を「甘えている」と表現することはほとんどないでしょう。

 

 

ある程度成長して、一人でできることがそれなりに多くなってきた子どもの行動や欲求に対し「甘え」という言葉を使い始めるように思います。

 

なぜ子どもは甘えるのか

 

「甘え」という言葉を赤ちゃんに使えるなら、母親のお腹にいる胎児は究極に甘えているのかもしれません。

 

 

生きることすべてを母親に依存しています。

 

酸素の供給でさえも!

 

母親の胎内から生まれ出た子どもの最初の自立の一歩は呼吸かもしれませんね。

 

 

月齢を重ね、自分の体を自分でコントロールすることができ始めると、今までされるがままになっていたことを自分でやってみたくなる時期がきます。

 

ハイハイを経て、立って歩けるようになると、どんどん行動範囲は広がり、母親の手を離れることも多くなってきます。

 

しかし、子どもにとって、それまでずっとそばにいた母親のそばから離れたり、やってもらっていたことを自分でやろうとすることは新たな挑戦であり、未知の世界です。

 

一人で歩く!と抱っこを嫌がって覚束なく歩いたとたん、転ぶこともあります。

 

歩いて行った先で犬にほえられるかもしれません。

 

子どもの性質にもよりますが、大抵の子どもは慌てて母親を求めるでしょう。

 

 

そう、母親や家族のもとは、安心安全な基地のようなものなのです。

 

 

そんな風に、自分の世界を広げるときの怖れや不安を、安心安全な基地で癒しながら、また世界を広げていくのです。

 

そんな、安心安全な基地で癒されたい、という気持ちからの行動や態度が、甘えなのではないかと思います。

 

 

なぜ甘えを受け入れることが大切なのか

 

甘えを受け入れてもらうことは、子どもにとって安心安全な基地で癒されるようなものとお伝えしました。

 

充分に安心安全を感じた子どもは、前向きに自分の世界を広げていくことができるようになります。

 

そうやって、世界を広げる冒険と甘えを繰り返すうちに、冒険に出かける時間が長くなっていきます。

 

 

親によって充分に甘えを受け入れられた子どもは、安心安全の基地を自分の外側にではなく、徐々に自分の内側、心の中に持つことができるようになります。

 

心の中に安心安全の基地を持つということは、(いつでも自分は満たされる)(いつでも自分は安心安全を感じられる)ことを信頼できるということです。

 

その信頼は自己肯定感のベースになります。

 

 

子どもの人生にとってこれほど心強いことはないのではないでしょうか。

 

わがままと甘えとの違い

 

ではわがままとは一体なんなのでしょうか。

 

他人のことを考えず,自分の都合だけを考えて行動する・こと(さま)。身勝手。自分勝手。 「 -をいう」 「 -な性格」

三省堂 大辞林

 

辞典によると上記のように書かれています。

 

 

「他人のことを考えず、自分の都合だけを考えて行動すること」、は甘えにも共通する部分かもしれません。

 

だから、甘えとわがままは線引きが難しいのでしょう。

 

 

しかし他人のことを考えながら甘えてくる乳幼児というのもイメージしにくいかもしれません。

 

経験も浅く、かつ脳が未熟な幼いうちは、他人のことを考える、ということは慣れないことでしょう。

 

 

ではわがままと甘えとの違いは何なのでしょうか。

 

 

私は、以下のように感じています。

 

 

甘え: 本当に欲しいものを素直に求めること

 

わがまま: どうせ求めるものは得られない、どうせ自分は満たされないと、いう心の傷(インナーチャイルド)が混ざった欲求

 

 

エネルギー的、感覚的にお伝えすると以下のようになります。

 

 

甘え:『ベクトルがストレートでシンプルで、クリアー』

 

わがまま:『ベクトルがあちこちに交錯して、複雑化して、ちょっとよどんでいる』

 

 

甘えが受け入れられないとわがままになる?

 

わがまま=心の傷が混ざっている欲求とはどういうことでしょうか。

 

心の傷とは、インナーチャイルドのことです。

 

 

インナーチャイルドとは、子ども時代についた心の傷、満たされなかった想いのことを指します。

 

 

インナーチャイルドの詳細はこちら

 

 

自分が抱っこして欲しいときに抱っこしてもらえなかった、やりたいと思うことをやらせてもらえなかった、などの出来事によって子どもが傷つくと、子どもはどんどんネガティブな情報を自分の心の奥底に蓄積していきます。

 

 

<ネガティブな情報の例>

 

・自分は愛されていない

・大切にされていない

・自分はいらない存在だ

・自分には価値がない

・自分はダメな人間なんだ

 

 

このネガティブな情報とエネルギーがくっついたものがインナーチャイルドです。

 

 

(どうせ求めるものは得られない)(どうせ自分は満たされない)などというインナーチャイルドの影響が大きくなると、子どもは本当に欲しいものが求めることが怖くなってきます。

 

 

本当は満たされているという実感が欲しいのに、それを求めても得られないと思ってるので、代わりのものを求めるようになっていきます。

 

 

例えば、おもちゃをやたらと買って欲しがる、というのはその一例かもしれません。

 

でも本当に欲しいのはおもちゃではないので、その場で一時的に満たされても、心から満たされることはありません。

 

そして、またすぐ、次のおもちゃを買ってもらいたがるようになります。

 

 

わがままにはインナーチャイルドが混ざっているので、わがままからの欲求を拒否するとインナーチャイルドが更に刺激されて、子どもの感情は大きく揺さぶられます。

 

手がつけられないほど感情的になったり、親を困らせるようなひねくれた態度をわざととったりします。

 

 

インナーチャイルドのエネルギーは黒い雲のようなイメージでもあるので、わがままをエネルギー的に表現すると、『ベクトルがあちこちに交錯して、複雑化して、よどんでいる』というような感じの表現になります。

 

 

さて、では甘えは受け入れるとしても、わがままに対してはどう接して行ったらいいのでしょうか。

 

わがままはどう受け入れていったらいいのか?

 

「このままではわがままな大人になってしまう」と危惧して、子どものわがままをダメ!とすると、子どものインナーチャイルドは大きくなっていきます。

 

かと言って、嫌な気持ちを抑えて、わがままの欲求をそのまま聞き入れても、子どもは親の本音の方を見抜くので、これもまた、インナーチャイルドが大きくなる要因になります。

 

 

拒否するのでもなく、聞き入れるのでもない。

 

一体、どうすればいいのでしょうか。

 

 

私の提案は、目の前の子どもが本当は何を求めているのか、探ろうとし続けることです。

 

探り続けることで、本当に欲しいものが感じられるようになってきます。

 

子どもに対する、本来母親が持つ繊細な感覚が開いていくのです。

 

 

最初は何で泣いているのかわからなかった赤ちゃんの泣き声に耳を傾けるうちに、徐々に赤ちゃんの欲求を察知できるようになるイメージです。

 

 

おもちゃが欲しいとねだっても、本当はゆっくりと自分の話を聞いてほしいだけかもしれません。

 

じっと、優しい目線で、見つめ続けてほしいだけかもしれません。

 

ただ、自分の存在を丸ごと受け入れてほしいだけかもしれません。

 

 

子どもは本当に欲しいものが得られて、心から満たされるようになると、わがままは減っていきます。

 

そして必要なときには、素直でシンプルなエネルギーで甘えられるようになっていきます。

 

 

それぞれへの適切な対応方法

 

甘えとわがままの違いがわかっても、具体的にどう対応すればいいのでしょうか。

 

ここからは、それぞれに適した対応方法を提案していきますね。

 

対応方法を知ることで、日々の育児での迷いが減り、自信を持って子どもに接することができるようになると思います。

 

 

甘えを受け止めることで育つ子どもの自己肯定感

 

甘えを適切に受け止めることは、子どもの心の成長にとって非常に重要です。

 

「甘えを受け止める=甘やかし」ではないんですね。

 

甘えを受け止めることで、子どもの自己肯定感という心の土台が育っていきます。

 

 

<すぐに応えてあげる>

 

子どもが「抱っこして」「一緒にいて」と求めてきたら、できる限りすぐに応えてあげましょう。

 

「ちょっと待って」と後回しにされると、子どもは「自分は大切にされていない」と感じてしまいます。

 

もちろん、毎回すぐに応えられないこともありますよね。

 

そんなときは「今お料理してるから、3分待ってね。終わったらぎゅーっとしようね」と具体的に伝えて、必ず約束を守ることが大切です。

 

 

<言葉で気持ちを受け止める>

 

「寂しかったんだね」「怖かったね」と子どもの気持ちを言葉で受け止めてください。

 

自分の感情を言葉にしてもらうことで、子どもは安心し、感情の健全な発達につながります。

 

 

<スキンシップを大切に>

 

抱っこ、手をつなぐ、頭をなでる。

 

温かいスキンシップは言葉以上に「あなたを大切に思っている」というメッセージを伝えてくれます。

 

 

<「あなたがいてくれて嬉しい」と伝える>

 

存在そのものを肯定されることで、子どもの自己肯定感は確実に育っていきます。

 

 

甘えを十分に受け止められた子どもは、心に安心の基地を持てるようになり、新しいことにチャレンジする勇気が育ちます。

 

逆に、自立を急ぎすぎて甘えを拒否すると、子どもは不安を抱えたまま成長してしまいます。

 

十分に甘えさせてあげることが、実は自立への一番の近道なんです。

 

 

わがままへの対処法:境界線を示しながら心に寄り添う

 

わがままへの対応のポイントは「気持ちに共感しつつ、適切な境界線を示す」ことです。

 

わがままを全て受け入れてしまうと、子どもは社会性を学ぶ機会を失ってしまいます。

 

かといって、頭ごなしに否定すると、子どもの心はますます満たされなくなります。

 

 

以下のステップで対応してみてください。

 

 

<ステップ1:まず気持ちを受け止める>

 

「これが欲しいんだね」と、子どもの気持ちをまず受け止めてあげましょう。

 

「ダメ!」といきなり否定せず、「そう思う気持ちはわかるよ」と共感から始めることが大切です。

 

 

<ステップ2:なぜダメなのか理由を説明する>

 

「でも、今日はもうおやつを食べたから、これ以上は食べられないよ」「このおもちゃは高いから、今日は買えないんだ」と、子どもの年齢に応じて、理解できる言葉で理由を説明してあげてください。

 

説明しても納得しないかもしれませんが、「親は理由なく拒否しているわけではない」と伝えようとすることが重要です。

 

 

<ステップ3:代替案を提示する>

「おもちゃは買えないけど、一緒に公園で遊ぼうか」など、子どもの本当のニーズ(注目してほしい、一緒に過ごしたい)を満たせる代替案を提示すると、案外すんなり受け入れてくれることがあります。

 

おもちゃが欲しいとねだっても、本当はゆっくりと自分の話を聞いてほしいだけかもしれません。

 

ただ、自分の存在を丸ごと受け入れてほしいだけかもしれません。

 

目の前の子どもが本当は何を求めているのか、探ろうとし続けてみてください。

 

 

<ステップ4:一貫性を持って対応する>

 

一度決めたルールは、できるだけ一貫して守ることが大切です。

 

今日はダメだったのに明日は良い、ということが続くと、子どもは混乱してしまいます。

 

また、「泣けば叶う」と学習してしまうと、わがままがエスカレートしていくんですね。

 

 

大切なのは「子どもの本当のニーズを満たす」ことです。

 

わがままの背後には、満たされていない愛情欲求や承認欲求があることが多いんです。

 

わがままな子どもに対しては、普段から子どもとの温かい時間を増やすことが根本的な解決につながります。

 

まずは子どもと1日10分でいいから、テレビもスマホもない、二人だけの時間を作ってみてください。

 

 

対応を間違えた場合の影響

 

では、甘えとわがままへの対応を間違えると、子どもにどんな影響があるのでしょうか。

 

これを知っておくことで、適切な対応の重要性がより理解できます。

 

 

<甘えを拒否し続けた場合>

 

情緒の不安定さ、愛着の問題、自己肯定感の低下、わがままの増加といった影響が出る可能性があります。

 

 

<わがままを全て許容した場合>

 

社会性の欠如、自己中心性、挫折への弱さ、満たされない感覚が生じます。

 

 

大切なのは「表面的な要求」を叶えることではなく、「本当のニーズ」を満たすこと。

 

結局、甘えは十分に受け止め、わがままには適切な境界線を示す、というバランスが大切です。

 

 

完璧な対応を目指す必要はありません。

 

「子どもの心を大切にしたい」という思いを持ち続けていれば、必ず道は開けます。

 

また親が自分の心を癒し、満たすことができると、子どもへの対応も自然と適切になっていくんですよ。

 

 

インナーチャイルドの連鎖を断ち切るために

 

インナーチャイルドの影響を受けた子どものわがままは、親のインナーチャイルドを刺激します。

 

だから、多くの親は、子どものわがままにネガティブに反応するのです。

 

 

「なんでそんなにわがまま言うの?!お母さんをこれ以上困らせないで!!!」

 

親から言われた言葉を、自分の子どもにも無意識に言ってしまうことはよくあることです。

 

 

幼いころ、自分の親から自分のわがままに対してネガティブに反応されていた人は特に、わがままに関するインナーチャイルドを持っているからです。

 

 

そう、インナーチャイルドって連鎖するのですよ。

 

 

なので、目の前の子どもに対し、本当に欲しいものは何だろう、と感じ続けるように、自分に対しても「私の本当に欲しいものは何?」と問いかけ続けてあげることをおススメします。

 

 

子育てに余裕が持てないのは、親の私たちのインナーチャイルドが痛む時。

 

満たされなかった子ども時代と無意識につながる時。

 

 

・自分は愛されていない

・大切にされていない

・自分はいらない存在だ

・自分には価値がない

・自分はダメな人間なんだ

 

 

そんなネガティブな想いが疼いて、子どもにイライラしてしまうことはないでしょうか。

 

 

だから親だって、やはり満たされる必要があるんです!

 

 

満たされた親は、心の余裕がうまれ、子どもの「本当のニーズ」を感覚的にキャッチできるようになっていきます。

 

そうやって、親も子も、心から満たされて、幸せな親子関係が広がっていく。

 

 

そんな親子を増やしていくのが私の願いです。

 

 

まとめ

甘えとわがままの違いは、子どもの心の状態にあるんです。

 

甘えは安心や愛情を求めるシンプルでまっすぐな欲求、エネルギー的には『ベクトルがストレートでシンプルで、クリアー』な状態です。

 

わがままはインナーチャイルドが混ざった複雑な欲求で、『ベクトルがあちこちに交錯して、複雑化して、よどんでいる』状態なんですね。

 

 

この違いを理解することで、子どもの本当に欲しいものが見えてきて、適切な対応ができるようになります。

 

子どもの本当に欲しいものを見極め、それを満たしてあげることで、子どものわがままは減り、素直に甘えられるようになっていきます。

 

 

まずは子どもの表情をよく観察し、行動の奥にある心の声に耳を傾けてみてください。

 

そして、あなた自身も「私の本当に欲しいものは何?」と問いかけながら、親子で心から満たされる関係を築いていきましょう。

 

 

大切なのは、完璧を目指すことではなく、「子どもの心の声を聞こうとする姿勢」。

 

その姿勢があれば、たとえ判断を間違えることがあっても、親子の絆は確実に深まっていきます!

 

そして、あなた自身も「私の本当に欲しいものは何?」と問いかけながら、親子で心から満たされる関係を築いていきましょう。

 

 

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