
子どもの頃から、家の中の空気を読むことが私の日常でした。
常にイライラぴりぴりして、機嫌を損ねると怒鳴ったり叩いたりする支配的な父親
常に父親の悪口や愚痴を言って聞かせ、「お母さんはどうすればいいの?」と依存してくる母親
親の表情をうかがい、声のトーンを聞き分け、今日はどんな気分なのかを瞬時に判断する。
自分の身の安全を守るためには必要な行為でした。
親元から離れて暮らしても、親からの電話の着信に怯えていた私。
そんな私がある時期から親の機嫌を伺わなくなった理由について、今回は率直にお話ししたいと思います。
この記事の目次
子ども時代:常に親の機嫌をうかがっていた日々
私の父は家にいる時はほとんどいつもイライラぴりぴりしていました。
彼の機嫌を損ねると叩かれたり怒鳴られたりしたので、身の安全のために、父の顔色を常に伺っていなければなりませんでした。
朝の食卓で、今日の機嫌はどうかな、とチラッと顔色を伺う。
ムスッとした顔で新聞を読む父親・・・
どうしよう、機嫌が悪いのかな、私何か悪いことしたかな、と不安になってくる。
でも、父親が母親に話しかける声のトーンに、(あ、大丈夫そうだ)とホッとする。
そんな日々でしたから、子どもながらに生きづらさと疲労感を感じる毎日でした。
母親への気遣い
父の顔色だけでなく、母の顔色も伺ってました。
母は父とは違い、怒りを爆発させることはありませんでしたが、父との関係を嘆き、愚痴や悪口を私に言って聞かせました。
たまに悲嘆に暮れて(お母さん、消えたい)などと漏らしてくるのが本当に負担でした。
だって、小学生の子にそんなこと言われても、どうにもできないじゃないですか!
なので、母親の機嫌を伺う時は、(お母さん、大丈夫だろうか)というような気持ちで伺っていたように思います。
私が身につけた「サバイバル・スキル」
このような環境で生活していると、自然と身につくスキルがあります:
- 表情を読む力 : 微細な表情の変化から感情を読み取る。
- 先回りする能力 : 怒られる前に問題を察知し、回避する。言いにくいことは親の機嫌のタイミングを見計らって言う。
- 自分の本音を抑圧する技術 : 親を刺激しないよう、自分の本当の気持ちを隠す。
- 完璧主義 : 親に怒られないよう、常に親の求めるような完璧を目指す。
当時の私にとって、これらは生きていくために必要不可欠な能力でした。
でも自分を抑えて、親の機嫌を伺う日々はストレスが溜まります。
小学生くらいの時からため息が多く、ひどく疲れていたように思います。
自分の本当の気持ちがわからなくなり、「私は何が好きなんだろう」「私はどうしたいんだろう」ということを考える習慣も失っていました。
常に「相手がどう思うか」「どうすれば安全か」ばかりを考えて生きていたのです。
成人後も続く影響
そして成長して大人になっても、親に対して発動していたサバイバル・スキルを無意識に発揮。
人の顔色を伺い、自分の本音を抑圧して付き合うのは、とても苦しく、常に孤独感と生きづらさを感じていました。
職場では上司の機嫌を過度に気にし、友人関係でも「嫌われないように」ばかりを考えていました。
本当の自分を出すことができず、表面的な関係しか築けない状況が続いていたのです。
転機:疲れ果てた心が限界に達した時
就職して数年して実家を出た私。
しかし数年して事情があり、実家に戻ることになりました。
また、父のイライラや母の落ち込みに、びくびく様子を伺う日々に逆戻り。
無意識にストレスをためていたのか、ストレスも発症の一因として考えられる難病指定の自己免疫疾患を発症。
その時、このままここにいたのでは不幸になる、と直感。
転職を機に沖縄への移住を決めました。
「環境を変えれば何かが変わるかもしれない」という希望を抱いての移住でした。
青い海と温かい気候があれば、きっと心も軽やかになるに違いないと信じていました。
生きづらさの原因に気づく
沖縄に移住したら幸せになれるに違いない。
しかし、夢だった沖縄に住んでも、もともと持っている生きづらさはなくなりませんでした。
母からは時々電話がかかってきて、父親との関係を嘆かれました。
母からの電話の後はどっと疲れていたのを覚えています。
(なんでこんなに生きづらいんだろう)
そこで初めてカウンセリングを受け、私の生きづらさには親との関係が関わっていることと伝えられました。
それを聞いた当初は、(えええー、別に普通の家庭で育ったと思うけど・・・)と感じたんです。
でも、色々と本を読み漁るうちに、確かに親の影響があるかも、と思えてきました。
どうやら平和な家庭では親に本音を言えるらしい。
ところが、私が親に本音を言うことを想像すると・・・、絶対言えない!!!、って本能が拒絶するのです。
それから色々と本を読み漁りました。
しかし、だからと言って、親との関係が変わることも、生きづらさが解消されることもありませんでした。
変化のきっかけ:ヒーリングを受ける
そんな生きづらさを抱えた私は、妊娠しました。
嬉しかった、でも自分が子育てすることを想像すると、(このままじゃまずい)と強烈に感じました。
私が父や母の機嫌を伺って育ったように、きっと子どもにも私の機嫌を伺わせてしまうに違いない。
「お母さん、今日は機嫌いいかな」と子どもに気を遣わせる親にはなりたくありませんでした。
でも、具体的にどうすれば変われるのかがわからない・・・。
そんな時、子ども時代についた心の傷、『インナーチャイルド』を扱うヒーリングと出会いました。
(子どものためにも絶対変わる!)
そう決意し、妊娠中にヒーリングを受けることにしたのです。
このヒーリングが私の中で大きな転換点となりました。
私にとっては非常に効果的でした。
実践:親の機嫌を伺わなくなるまでの道のり
ヒーリングを受けることで、生きづらさが軽くなってきたと同時に、親との関係を客観的に観察できるようになってきました。
小さい頃は、親の顔色を伺い、親に合わせることは、自分の身を守るために必須だった。
だってね、4歳くらいの子が、40代の大きい体の成人男性に叩かれて、時には外に出されたり、縛られて押し入れに閉じ込められたりしたんですよ。
子どもにしてみたら、無意識に死の恐怖を感じたっておかしくありません。
また、本当は自分を守ってくれるべき存在である母親が、落ち込んで、時には死にたい、と嘆く。
母親がいなくなったら・・・と考えると、やはり、死の恐怖に等しいものがあったんじゃないかと想像します。
複雑な家庭を生き延びるためには「サバイバル・スキル」の習得は必須だったんです。
でももう、私も大人になった。
父と母は年老いて、私の生死を握るような存在ではなくなっている。
じゃあ、もう「サバイバル・スキル」は手放していこう!と決めたんです。
この決意が、実際の行動変化の出発点となりました。
頭では理解していても、実際に行動を変えるのは別の話でした。
ステップ1:気づきの段階
まずは、自分が親の機嫌を伺っている瞬間に気づくことから始めました。
実家に帰省した時、無意識に行っていた行動に意識を向けるのです:
- 親の顔色を見る
- 先回りして何かを準備する
- 自分の意見を飲み込む
意識してみると、自分が思っている以上にたくさんの場面で、親を気にしていたことがわかりました。
例えば、廊下に響く父の足音から、父のイライラ度を測ってました。
母親のため息の度合いで、母の落ち込み具合を想定してました。
こうした細かい行動パターンに意識を向けることから始めたんです。
ステップ2:小さな実験
気づいた後は、小さな実験を始めました:
- 親が機嫌悪そうでも、普通に話しかけてみる
- 自分の意見を伝えてみる
- 親の機嫌に合わせて自分の行動を変えることをやめる
最初は非常に勇気が必要でした。
例えば、母が父の愚痴を言ってこようとした時に、「私は聞きたくないからやめて」と自分の気持ちを伝えてみました。
父が機嫌良く話している時は、もっと機嫌良くなってもらおうと質問したり、感心したふりをしたりしていたのですが、それをやめてみました。
でも意外にも親は私が思っていたほど激しく反応しませんでした。
ステップ3:境界線の設定
最も重要だったのは、心の境界線を設定することでした:
- 親の感情は親のもの : 親が不機嫌でも、落ち込んでいても、それは私の責任ではない
- 私の感情は私のもの : 親の機嫌に合わせて自分の感情を変える必要はない
- 健全な距離感の維持 : 愛情と依存は違う。私は私を一番大事にする。
罪悪感と向き合う
特に、親より自分の気持ちの大事にすることは難しかったです。
親より自分を優先することに対して、罪悪感が湧いてきてしまうのです。
(なんて、私は親不孝なんだ・・・)
そんな時は、私がまず私を大切にし、私がまず私を幸せにすることが、本当の意味で親を幸せにすることにつながる、と自分に言い聞かせました。
罪悪感への対処法:
・「自分を大切にすることは、結果的に周りの人も大切にすることになる」と自分に言い聞かせる
・「健全な境界線がある関係の方が、長期的には良い関係を築ける」と理解する
・ 信頼できる人に相談して、客観的な視点をもらう
変化の結果:得られたもの
自分らしさの回復
親の機嫌を伺わなくなって得られたものは数多くあります:
精神的な平穏 : 常に気を張っている必要がなくなり、リラックスできるようになりました。
本当の本音の発見 : 他人の期待に応えることではなく、自分が本当に何を感じ、何を望んでいるのかが分かるようになりました。
健全な人間関係 : 友人や夫、子どもとの関係で、相手の顔色を過度に伺うことなく、対等な関係を築けるようになりました。
具体的には、表面的な付き合いではなく、本音で話せる友人関係を築けるようになりました。
「嫌われないように」ではなく、「この人と本当につながりたい」という気持ちで人と接するようになりました。
子どもに対しては、私の機嫌を伺わせるような接し方をしなくなりました。
子どもが自分の気持ちを素直に表現できる環境を作れるようになったと感じています。
親との関係の変化
また、私が親の機嫌を伺わなくなったことで、親との関係も良い方向に改善されていったのです。
- 以前よりも率直な会話ができるようになった
お互いに建前ではなく、本音で話せる機会が増えました。
- 親も私の独立性を認めてくれるようになった
最初は戸惑っていた両親も、徐々に私の変化を受け入れてくれるようになりました。
- お互いに依存しない、健全な距離感が生まれた
お互いの人生に過度に介入しない関係を築けるようになりました。
今、同じ状況にいる人へのメッセージ
あなたの感情は大切です
もし今、親の機嫌に振り回されている生活を送っているなら、まずは自分の感情を大切にしてください。
あなたの気持ちは無視されるべきものではありません。
「親不孝かもしれない」「わがままかもしれない」と思う必要はありません。
自分の感情を大切にすることは、人として当然の権利です。
変化は可能です
長年身につけた習慣を変えることは簡単ではありませんが、不可能ではありません。
小さな一歩から始めて、少しずつ自分らしさを取り戻していきましょう。
私も一夜にして変わったわけではありません。
何年もかけて、少しずつ変化してきました。
完璧を目指さず、「今日は少しだけでも自分の気持ちを大切にできた」という小さな成功を積み重ねることが大切です。
サポートを求めることは弱さではありません
一人で抱え込む必要はありません。カウンセラー、信頼できる友人、サポートグループなど、助けを求められる場所はたくさんあります。
私が受けて個人的に効果を実感した『インナーチャイルド』を扱うヒーリングもオプションの一つです。
詳細はこちら
効果には個人差があることを理解した上で、自分に合った方法、自分に合ったセラピストを見つけていってください。
おわりに
親の機嫌を伺って生きることは、一見すると「優しい子」「良い子」のように見えるかもしれません。
しかし、それは本当の意味での愛情関係ではありません。
真の愛情関係は、お互いの境界線を尊重し、相手の感情に責任を持ちすぎることなく、それでも相手を大切に思う気持ちから成り立ちます。
私が親の機嫌を伺わなくなったのは、親を嫌いになったからではありません。
むしろ、より健全で持続可能な形で、親を対等な一人の人間として大切にできるようになったから。
大切な人だからこそ、仮面をかぶって付き合うことをやめたのです。
そして何より、私自身、そして私の家族を大切にできるようになりました。
あなたも、あなた自身を大切にする権利があります。
それは決して自分勝手なことではありません。
自分を大切にできる人だけが、他人を真に大切にすることができるのですから。
変化には時間がかかりますが、一歩ずつ進んでいけば必ず到達できます。
あなたの人生は、あなたが主人公!
他人の機嫌に振り回されることなく、自分らしく生きていきましょう。
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